少年野球始めるなら絶対に右投げ右打ちが良い理由。右投げ左打ちは飽和状態で多すぎ!

今の日本の野球界、あまりにも右投げ左打ちの選手が増えすぎてしまいました

イチロー選手や松井秀喜選手、大谷翔平選手など、右投げ左打ちのスーパースターに憧れて子供の頃から左打ちを真似てきて、自然と左打ちになった選手もいるでしょうし、左打ちが有利だからと親や指導者が左打ちに転向させるパターンも多いです(特に足の速い選手)

左打者の方が右打者よりも1塁に近く内野安打も増えやすくなるため、出塁率を上げるという点では左打者の方が『かなり』有利ですからね

ただ、最近は有望な選手を少年野球世代からどんどん左打ちに変えてしまうため、あまりにも右投げ左打ちが増えすぎてしまい『右打ちの強打者』がアマチュアでもプロ野球でも激減してしまいました

甲子園に出場する球児も今は3割から4割ほどが右投げ左打ちと言われていますし、実際ドラフト会議を見ていても指名される野手は右投げ左打ちだらけです。これは各球団が右投げ左打ちの選手が欲しいというわけではなく、ドラフト候補が右投げ左打ちだらけなので仕方なく指名しているというのが現状です

この状況を見ると、今後ますます『右打者』はかなり重宝されるはずですし、誰よりもずば抜けて足が速いとか守備が抜群に上手いとか、他の選手よりも特別に秀でた何かが無い限り、左打者に転向してもほとんどの選手は中途半端な量産型の右投げ左打ち選手で終わってしまうと思います

このような日本野球界の現状を見ると、もし今から野球を始めるお子さんがいる場合、しかも将来、甲子園やプロ野球という夢があるのなら、安易に左打ちに変えるよりそのまま右で打つ方が未来は明るいでしょう

高いレベルに行けば行くほど、量産型右投げ左打ち選手はその他大勢の中で簡単に埋もれてしまうでしょうし、これからの時代は右投げ右打ちというだけでひとつの価値にすらなっていくかもしれません

プロ野球を見ると、外野手の俊足巧打系の選手はもうほとんどが右投げ左打ちです。右投げ右打ちで実績のある俊足外野手ですぐに思い出せるのは現役ではロッテの荻野貴司選手くらいでしょうか?
それ以前になるともう緒方孝市さんとか秋山幸二さんくらいまで遡らないといけないかも…っていうくらい右打ち俊足選手は人材不足です

これくらい走れる選手は今の時代、もう小学生くらいの段階で当たり前のように左打ちに転向させちゃんでしょうね

プロ野球OBが語る右投げ左打ちの問題点

プロ野球の有名なOBも右投げ左打ちの問題点についてよく語っておられます

その中でも元阪神タイガースの4番打者で、右投げ左打ちの代表的な選手である掛布雅之さんは、テレビやYouTubeなどで『右投げ左打ちの不利な点』について頻繁に触れられているのですが、これがとても解りやすいので紹介します

掛布さん曰く

『右投げ左打ちの選手の場合、本来右利きの選手が左打席に入る事になる。その場合、スイングの際に利き腕ではない左腕で押し込まないといけない。押し込む腕が利き腕ではないから当然押し込む力も弱くなり、必然的に長打は減る』

このように右投げ左打ちに関するデメリットを頻繁に言われています

ちなみに掛布さんは右投げ左打ちですがお箸などは左なので、他の右投げ左打ちの選手とは少し事情が違います

同じ左打ちでも、左投げ左打ちの選手は利き腕の左でしっかりと強く押し込めるのに対し、右投げ左打ちの選手は右利きなので左手で強く押し込めないわけです

確かに、松井秀喜選手や大谷翔平選手、村上宗隆選手など右投げ左打ちの規格外はいるもののそんな選手は少なくて、日本球界の右投げ左打ちの選手の多くは小技の効く巧打の1・2番タイプが圧倒的に多いですよね

また、2015年と少し古い記事ですが、元西武ライオンズの監督・東尾修さんも週刊朝日の連載で右投左打ちが増え続ける現状をこのように語っておられます

高校野球で増える「右投げ左打ち」に東尾修が危惧

高校野球100周年で盛り上がる甲子園の中継を見ていて感じたことがある。「右投げ左打ち」の選手がなんと多いことか。今回の甲子園に出場している選手の約3割が「右投げ左打ち」だという

私も数多くの少年野球教室を行ってきたが、小学生のうちから左打ちに変える選手が本当に多い。理由はわかるよ。野球はまず、一塁に走る。右打席より左打席のほうが近いわけだから、安打になる確率は高まる。そして、メジャーリーグではイチロー、松井秀喜、青木宣親も右投げ左打ちである。少年のあこがれでもあり、将来メジャーリーガーになりたいという目標を持っているなら、それが最短距離に見えるだろう

 私が西武監督になった20年も前から「右の大砲」がいなかった。スカウトにも「右の大砲を探せ」というがなかなかいない。松井稼頭央だってスイッチヒッターに転向してもらったが、右だけで勝負させようか迷ったほどだ。今はもっと状況は偏っている。「俊足巧打の右投げ左打ち」の選手は山ほどいる


今話題の早実・清宮幸太郎もそうだと聞く。ただ、「左打席」を作る過程で、スケール感を失わないことを真剣に考えることが大事だ。右打席のように利き腕の右手で押し込んで長打するという部分はどうしても消えてしまう。特に、小学生、中学生の指導者で、左打席を作り上げていく指導方法を持っている者は少ないだろう。結果だけ求めて小さくまとまった選手が増えてしまう。単に出塁したいから、試合に勝ちたいから、といった理由で、その子の特長や成長度を見守る前に左打者に変えてしまえば、同じような選手しか出てこなくなる


私が投手総合コーチを務めた2013年のWBCでも感じたが、国際大会では外角のストライクゾーンが広いため、左打者は左投手に対して圧倒的に不利になる。4番には右打者がほしいと考えるのは自然だし、侍ジャパンの小久保裕紀監督も中田翔の4番にこだわっていることを見れば、右打者の重要性がわかる


今、セでは山田哲人(ヤクルト)、パでは中村剛也(西武)といった右打者が本塁打王争いのトップに立つ。少年たちに「右の長距離砲を目指したい」と思ってもらえるような、成績を残してもらいたい

週刊朝日 2015年8月28日号

この東尾さんの記事を読むと、やはり、右打者がいかに今の野球界に少なくて貴重かというのがよく解りますよね

これは2015年の記事ですが、それから現在に至るまで、残念ながら右投げ左打ちが減る傾向は全くありません…

プロ野球のデータが示す右投げ左打ちパワー不足の傾向

プロ野球に溢れかえる右投げ左打ち選手、長打の少ない一・二番タイプが圧倒的に多いというのは先に触れましたが、これはデータを見ても一目瞭然です

まず通算本塁打数の上位30人の中で右投げ左打ちの選手は日米通算で507本を打った松井秀喜選手と金本知憲選手(476本・11位)阿部慎之助選手(406本・19位)の3人だけ

本塁打王を獲得した右投げ左打ちの日本人選手は2リーグ制以降では掛布雅之選手、小笠原道大選手、松井秀喜選手、筒香嘉智選手、村上宗隆選手、近藤健介選手という6人しかいません

それ以外は全て、利き腕で押し込むバッティングが出来る右投げ右打ちと左投げ左打ちの打者ばかりですね

2023年のパリーグ本塁打王は西武の山川穂高選手が1年間不在だったことも影響したのでしょうが、近藤健介選手の26本での本塁打王は1960年の阪神・藤本勝巳選手の22本以来の最少本塁打王となりました

またロッテ・ボランコ選手と楽天浅村栄斗選手との3人同時受賞となり、これも2リーグ制以降初の3人同時本塁打王です

プロ野球の長い歴史の中で右投げ左打ちが多くなった時期もまだ浅いですし、もちろんホームランが野球の全てではありませんが、この実績を見ただけでも、強く打ったり遠くに飛ばすという要素は右投げ左打ちはかなり不利なのを感じますね

また、本当にもったいないと感じるのが、右投げ左打ちの選手の中には、長距離砲の資質がありそうな非常に体格に恵まれた選手も多くなっている点です

そのような選手をわざわざ左打ちに変えてしまい、その結果、本来の身体の強さや押し込むパワーを台無しにする、中途半端でどこにでもいるような右投げ左打ち打者を量産してしまっています

スモールベーボールという言葉もありますが、今のように量産型右投げ左打ちが増え続けると、日本の野球はどんどん魅力を失ってしまうような気がします

少年野球 右投げ左打ち多すぎ問題 まとめ

野球をやるからには『ボールを遠くに飛ばしたい』『ホームランを打ちたい』というのは誰もが思うことです

そのためには『前の腕でしっかりとボールを捉えて、後ろの腕で強く押し込む』というのが基本になりますが、右投げ左打ちの場合、右利きの人が左腕で押し込む事になるので、ほとんどの選手は強く押し込む事が出来ません。これは本当に右投げ左打ちの最大の欠点であり、野球本来の魅力である遠くへ飛ばすという事においては致命的です

左打ちに変える事によって内野安打は増えるかも知れませんし、出塁率も高まるかもしれません。しかし、野球の楽しさを知るはずの少年野球で内野安打が少し増えたところで、それが野球の本当の楽しさや野球の魅力を知る事に繋がるでしょうか??

少年野球からプロ野球、ここまで右投げ左打ちが浸透してしまった現状を今から変えるのはもう難しく手遅れかもしれませんが…

個人的には作られた右投げ左打ちよりも自然な右投げ右打ちの方が遥かに魅力を感じますし、中学高校大学と高いレベルで野球をやって行くうえでも、今後は間違いなく右打ちは貴重な戦力として期待値も高くなるはずです

素晴らしい右投げ右打ちの選手がこっれからの野球界にどんどん増えてくれたら凄く嬉しいです

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